現代社会において、資本主義のマーケティング戦略は、その主要なターゲットを女性から男性へと広げている実態が指摘されています。

かつて、資本主義は主に女性とその稼ぎ出したお金を標的とし、女性に自己嫌悪を抱かせては、その「解決策」として商品を売り込む手法を採ってきました。しかし、過去20年ほどで、この傾向は男性をターゲットにする方向へと顕著に変化しています。

筆者は自身の幼少期の体験として、テレビで目にした男性向け性機能改善薬（「小さな青い錠剤」）のCMに衝撃を受けたことを振り返ります。当時11歳だった筆者は、男性が抱えるであろう性的な悩みを知り、将来自分も同じような不安に直面するのではないかと漠然とした感情を抱いたといいます。

この個人的な経験は、現代の若い男性が直面するより深刻なプレッシャーと比べれば、ごく一部に過ぎないと筆者は指摘しています。消費社会が男性の身体や自己像に対する新たな不安を生み出し、解決策と称する商品の購買へと誘導する現状が浮き彫りになっています。